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もし高校で赤点6回の英語力でいきなりアメリカ留学するとどうなるか?第4話

高校赤点・・・・・

第4話

『英会話の捉え方が変わった記念日』

僕が幸運だったのは、早いうちに英会話のたった1つの大切なことに気が付いたことでした。
高校で英語の赤点6回の実力でアメリカ留学、という無謀な試みは、一方で、いい意味で初っ端から吹っ切れていたという強みにもなっていた。
英語学校で会った英語力も志も高い仲間の留学生たちに刺激をもらいながら、とても良いスタートを切れていた。
このまま一気にペラペーラになれるのではないかというわずかな期待もわいてきていた。

― やっぱ現地にいけばすぐペラペーラなるんだ

アメリカ留学をするぞ、と決意したのは15の夜だった。
それは「したい」ではなく、「するぞ」だった。
地方の港町に生まれ育ち、海外とは全く縁のない生活をしていた純ドメ男が、見たこともないアメリカに自分の将来を重ね合わせた夜だった。
盗んだバイクで走りだしてもいないし、夜中に校舎の窓を割ってまわったこともないが、世の中に確実に何かの憤りを感じていたころの話,,,まぁ、そのあたりは長くなりそうなのでさておき。

僕が少しユニークなのは、アメリカ留学を決めた夜に、「ああ、英語を勉強しなきゃ」とはならずに、「これで英語を勉強する必要がなくなったな」と思ったことだった。
現地に行けばうまくなるだろう、勝手にそう思い込んだ。であれば、なぜ日本でわざわざ英語の勉強をする必要があるのだろうという思考だ。
正直アホすぎるのであるが、時計の針は戻らない。

ただ、この英語学校にきて、英語で夢もみてノリノリで英語の勉強にのめりこみ始めたとき、自分は正しかったのだと思った。

― ふっ、やはり日本でわざわざ英語の勉強なんてしなくてよかったぜ。英語って現地ですぐに上達するっぽい。

英語楽勝!!

といい気になり始めていたのだった。

そして事件は起きた。

野生のアメリカ人

それは、初めての野生のアメリカ人との遭遇だった。
野生というのは、動物的、という意味ではない。

英語学校にいるアメリカ人は、留学生たちを育てようとしてくれているアメリカ人だ。
つまり、こちらの英語力が低いこともわかっているし、そういった語学力が低い人間との付き合い方にも長けてもおり、さらに、何かにつけて助けてあげよう、教えてあげようという気概に満ちた、いわばマリア様のような人たちだ。
英語学校とは、そういうアメリカ人だけで作られている言わば温室のようなコミュニティーなわけだ。

その温室の外にいるのが野生のアメリカ人。
つまり、僕が初めて英語学校関連以外のアメリカ人とあったときの話になる。
いや、そういう意味では最初の日のお昼に華々しく蹴散らされたマックのお姉さんなんかも十分野生のアメリカ人であるが、その時はまだ英語学校に行く前だった。
つまり温室に慣れ切っていないころの自分だった。
まだこちらも英語が下手な野生の日本人だった。
でも、もう僕は温室になれきった羊のような日本人に成り下がっていたのだ。

結論からすると、僕が久しぶりにあった野生のアメリカ人は、僕が発した「red(赤い)」という単語を聞き取れなかった。
3度いってもわかってもらえなかった。

英語学校であれば、さらに何度も辛抱強く聞いてくれるだろう。

でも、3度いって理解出来なかった瞬間、彼は聞き返すことをやめ、急速にその話から興味を失い、会話は終わったのだった。

― Red(赤い)なんていう単語さえ通じないのか

これには出鼻を挫かれた。

めちゃくちゃノリノリだった英語楽勝!の出鼻を挫かれた。
やっぱ英語なめられない。

― 野生のアメリカ人との英会話は半端じゃない。なんせ、Red(赤い)が通じない!!

それは相当なショックだった。愕然とした。
もしかしたら英語を上達するってことは、そう簡単なことではないのか、と(今更、ようやく)感じた。

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