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近所の蕎麦屋で起きている”2020年問題”

昨日10月8日は蕎麦の日だったそうだが、先日、近所の蕎麦屋でほのぼのとした家族連れを見かけた。

家族4人で来られていた。
お父さん、お母さん、そして小学生くらいのお子さん2人だ。

お父さんは、まずザルそばを1枚頼んで、そばツユも4つ頼んだ。
「まぁ蕎麦屋だから、まずは、やっぱり蕎麦を食べよう」とお父さんは言った。
そして、楽し気な雰囲気のなか、4人で1枚のザルそばをつつき始めた。
4人で分けあったそばが無くなったころ、カツ丼やら天丼やらが届き始めた。

最初に1枚のザルそばを4人で少しずつ「シェア」した後に、それぞれ頼んだ「個人メニュー」を食べるというアプローチのようだ。

「うーん、蕎麦屋の楽しみ方をご存じである」と感銘をうけた。

ただ、ここでハッとしたのは、蕎麦が「ちょこっと」「せっかくだし」「来たからには」というシンボル的なものと化していたということだ。もう蕎麦はむしろ前菜にすぎず、誰も蕎麦をメインとして食べていないという状況だったことに気が付いたのだ。因みに、そのお父さんの蕎麦の後のご自分のメニューはカレーうどんだった(笑)

どこの街にも1つくらいある「近所の蕎麦屋」が好きだ。
蕎麦の専門店ではなく、あくまで「近所の蕎麦屋」だ。
頻繁に行く。

「なんかカツ丼食べたいなぁ」と思ったら、とんかつ屋には行かずに「近所の蕎麦屋」にいく。醤油の味が程よくきいている「近所の蕎麦屋」のカツ丼はやみつきになる。

「なんかカツカレーが食べたいなぁ」と思ったときもカレー屋ではなく「近所の蕎麦屋」。ココイチのカレーも大好きだが、「近所の蕎麦屋」の和風っぽいカレーも大好きなのだ。

「なんか野菜炒め定食が食べたい」ときも中華料理屋ではなく「近所の蕎麦屋」。「天丼」が食べたくても天ぷら屋ではなく「近所の蕎麦屋」。「焼肉」も、がっつり食べたいときは焼肉屋にいくが、さくっとランチで定食で食べたいときは「近所の蕎麦屋」。

そう。これでもか、というくらいの様々な需要を満たしてくれるのが「近所の蕎麦屋」だ。先日は後輩が「味噌ラーメン」を頼んでいた。なんでもありなのだ。

ところが、である。

肝心の「蕎麦」を食べたいときだけは僕は「近所の蕎麦屋」にはいかない。

代わりに駅構内のシブ蕎麦(駅そば)に行く。
おそばには申し訳ないが、かけ蕎麦だったら300円以内、かき揚げ載せても400円以内くらいが僕個人に馴染むそばの金額になってしまっている。更にシブ蕎麦はとても美味しい。僕にはそれで十分だ。

ということで、蕎麦が食べたいとき以外はたいていお邪魔するのが「近所の蕎麦屋」。
当然蕎麦も美味しいだろうが、他に美味しいものがたくさんありすぎる。

2020年にオリンピックに向けて、この「近所の蕎麦屋」を海外の方にどう伝えたらいいのか、僕はドキドキし始めている。
これを「Soba」とだけ訳しただけでは、現代の「近所の蕎麦屋」の本当の良さが伝われないのではないかと、不安である。
あの、『カレーうどんあり、天丼あり、カツカレーあり、野菜炒めあり、味噌ラーメンありの、でも蕎麦も当然おいてあるよ』という「近所の蕎麦屋」の常識を外国の方に一言で分かってもらうにはどうしたらいいのだろう。

超個人的な考えとしては、日本を訪れた海外の方には、お寿司や天ぷらといったわかりやすい日本食屋も是非行って欲しいし、日本の伝統の食べ物である蕎麦も是非食べてほしいが、やっぱり「近所の蕎麦屋」で蕎麦以外の「THE近所の蕎麦屋」のグルメも味わってほしい。だって、「近所の蕎麦屋」には間違いなくリアルな日本の庶民の美味しいもの事情があるのだから。

『THE近所の蕎麦屋』を一言でいう、何かいいアイディアはないだろうか。

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